キラキラ
第2章 ねがい星
早朝。
大音量で鳴り響く予定だった目覚まし時計の、ジリジリの、ジ、のタイミングで、ばんっとスイッチを叩き切った。
(…………せーふ)
ぼんやりする頭を軽くふりながらベッドからおりる。
そっと寝室の扉をあけ、リビングに入った。
ソファーベッドを、見ると、大きな体を少しまるめて相葉さんが、すやすや寝てた。
この家に泊まったとき用の、相葉さん持ち込みのタオルケットが、床におちてるのに気がつき、静かに歩み寄って、そっとかけてあげる。
相葉さんは、少しだけもぞもぞ動いて、また静かになった。
相葉さんの寝顔が密かに好きな俺は、しばらくそのまま、じいっと眺める。
小さな顔に長い手足。
嵐一の抜群のスタイルを誇り、運動神経もピカ一なくせに、中身は誰よりも普通。
そんな庶民派スーパーアイドル相葉さんと、そういう関係になって、もうすぐ一年たとうとしてる。
絶対に俺に無理をさせず、いつもいつも大切にしてるオーラを発信し続けてくれる相葉さんが、俺も大好き。
だから、甘えちゃうんだよな。
試したくなるんだよな。
何をしても、許してくれんのかな、何を言っても笑ってくれんのかな、って。
相葉さんが、怒っちゃうボーダーラインはどこだろ?って。
つきあいは、ながいけど、恋人になってからは、まだまだだから。
俺みたいな天の邪鬼でむずかしいやつ、恋人にして、相葉さんは後悔してないのかな……とか。
(あー、ダメだ。気持ちおちちゃう)
口をひきしめて、踵をかえす。
相葉さん用のコーヒーだけ、コーヒーメーカーにセットして、俺は家を出た。