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キラキラ

第19章 バースト3


Sho


一瞬、ガッと空間が歪んだ気がして、二人してもっていかれそうになったけれど、全力で潤に流し込んだ俺のチカラで、それを立て直した。

小さく、ふぅ……ふぅっと、潤が息を吐くタイミングにあわせて、彼の体の中の炎が小さくなってゆくのを感じる。


「そう……いい感じ」


小さく囁いてやりながら、潤の呼吸に、ゆっくりと俺のチカラもシンクロさせて。


まるで、ガスコンロの火をしぼっているみたいに。
強火から中火、弱火……とろ火になって。



……消えた。



「……」



静寂。



肩で息をしている潤を抱きしめたまま、ゆっくり傍らのベッドにもたれる。


息を整えながら、安堵のため息をついた。


……ひさびさに、暴走しかけたなあ。


口では、冷静だったけど、実はちょっと焦っていた俺だ。

潤と初めて出会った頃を思い出す。
彼は、いつも不安そうな色の目をしてて、ちょっとした感情の変化で跳びまわってた。

あの頃に比べれば、落ち着いたけれど、そのぶん一回の暴走にかかるチカラの比重は重くなった気がする。

早く自分のものにしてもらわなくては。


窓の外からフワリと夜風がはいりこみカーテンをゆらすのが目にとまる。


風にのって、遠くの救急車のサイレンの音が僅かに聞こえた。



「……大丈夫か」



俺の胸にもたれて、動かない潤にそっと声をかけた。


夕方トレーニングしたあとだから、だいぶコツはつかんでいるだろうと思っていたが、予想以上の勢いについていけなかったみたいだ。



「潤?」


「…待っ…て」


俺の腕の中からなかなか起き上がろうとしない。
ていうか、起き上がれないのか。


「……動けない?」


潤が頷いた。


俺は、潤がもってきてたペットボトルを手に取り、口元にもっていってゆっくりと傾けてやる。
すると、素直に口をあけコクコクと飲みだした。

親鳥の気分だ。 

くすりと笑い、飲みたいだけ飲ませてやった。


それにしても。


胸の中で、ぼんやりとしている潤を見下ろしてると、変な話、少し愛しい気分になってくる。

体は俺より、少し大きいが、二つ違いとはいえ、中身は俺に言わせりゃ全然子供。

だけど、やんちゃな外見とは裏腹に、ものすごく礼儀正しい面もあり。
逆に気を使いすぎて疲れてないか心配してやりたくなるくらいだ。

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