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キラキラ

第19章 バースト3


「自分で消せる?」


翔が、聞いてくるけれど。


急速に狭まる視界と、久しぶりに動いた感情によってわきだしてきたチカラの勢いが激しくて、手におえそうもない。

俺は、思わず首をふった。


「こっち向いて」


肩をつかまれて、向きをかえられる。
狭い視界に、苦笑いをした翔がうつる。

ぐいっと手をつながれた、と思ったら、指先から翔のチカラが、どくどく流れこんできた。

それに触発されたのか、体にあふれてたものが、瞬間的に爆発しそうになり、俺は、思わず息をのんだ。


「潤。息とめんな」


気がついた翔が、鋭く制した。


「………っ…ん」


「大きく吸って。夕方やったろ? 静かに消すんだよ」


「あ…できない……っ」


今にも、体内で爆発しそうなチカラ。

どんどん奥底からわきだすものがぐるぐる渦巻いて、行き場をもとめて暴れ狂いだした。

翔のチカラがおさえこもうとかぶさってくるのを感じるけど、もう遅い気がする。
まるでギリギリまでふくらました風船のよう。
少しでも、気を抜いたら破れる。


俺は、フルフル首をふった。

だめだ。我慢できない。



「跳ぶ……っ」



「だめ」


悲痛な俺の声にかぶさるように、低く翔が切り捨てた。


同時に、俺は、翔に抱き寄せられた。


触れていた指先だけじゃなく、体全部、翔と触れているところすべてから、翔のチカラが一度に流れこんできた。


「練習無駄にすんなよ。手伝ってやるから消してみろ」


「………う……」


ぎゅうっと目をつぶる。
はあっ、……はあと深呼吸を繰り返した。


暴れ狂うチカラを制御するのには、精神力がいる。
委ねてしまえば楽なんだけど、翔は、それを許してくれなかった。


頭が、フワフワしてきた。



「翔…っ」



「潤、目をあけて?」



冷静な翔の言葉に薄く目を開いた。
翔の部屋がぼんやりとみえて、我にかえる。


「カウントとるから。一緒におさめよう。落ち着いて。静かにね。いくぞ?」


こくこくと頷いた。

息もしづらくなってきた。

早く…


「いち、にの」


息を吸い込んだ。


「さん」


翔の合図と同時に、体の力を内側にむけた。




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