テキストサイズ

キラキラ

第19章 バースト3

じゃ……って。

本当にでかける気かよ?!

驚いて、目を白黒させてる俺に向かって、

「楽しんでね」

心底楽しそうな顔を残し、かずはスマホを手に、ばいばーい、と可愛い声と共に出ていった。


……パタンと、玄関の扉がとじる。

あとには、しんとした空気と、茫然ととり残される俺。


「ええと……」


……なんか。
なんだろ。
いろいろと言われた気がするぞ。


かずの言葉を反芻する。



……You 恋しちゃいな


マジでいってんのか。

恋しろ?
潤相手に?

……んなもん、できるわけねーだろーが。
潤におもいっきりひかれるわ!

あれ。

……いや、待て。
当たっても砕けないとも言ってたな……ありゃ、どういう意味だろ?


「……わかんねー……」


頭をガリガリ書きながら、リビングにもどる。



ソファに横になったままの潤が目にはいるが、表情がみえない。

……つか妙に静かだ。  

……寝てんのか?

近づくと、すうすうと寝息がきこえた。
そっとのぞきこむと、さっきまでぼんやりあいてた瞳はとじられ、穏やかな寝顔になっていた。

くっとその場で指をまわし、空調のリモコンを操作して、潤のために温度を少しあげた。

そうして、自室から小さなタオルケットを持ってきて、ふわりとかけてやった。

体力もチカラも使い果たして、体が強制的に回復のための休息を、求めているのだろう。

俺は、規則正しい寝息をききながら、潤の傍らに座り込んだ。

じいっとその寝顔をみつめる。


つくづく男前だ。
すっと、通った鼻筋。太く整った眉。
何よりも今は閉じられてるが、瞳の大きさ、まつげの長さは、天下一品だ。
やんちゃそうな外見だし、精一杯オラオラしているようだけど、俺ら大野家の人間の前では、すごく素直で礼儀正しい。
はにかんだ笑顔など、最高に可愛い。
 

……可愛い。



そっと頬に触れてみる。
少し冷たくて柔らかくてスベスベしてる。
指を動かし、額にかかった前髪に触れる。



……キスしてえな。



ぽつりと思う。


もう一度キスしてみたら、何か分かるだろうか。
このモヤモヤした思いは、何か変わるだろうか。



……寝てるしな。
……ちょっとだけ。


俺は、そっと顔を寄せた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ