キラキラ
第22章 1ミリのユウキ
Sho
個人の仕事を終え、自宅のあるタワーマンション前に帰りついたら、午前1時をまわっていた。
「明日は、10時に迎えに来ます」という、マネージャーの言葉に、ありがとう、と頷いて車を降りた。
しんとしたエントランスに自分のスニーカーの音が、キュッと鳴り響く。
磨きあげられたピカピカの床だから、無駄に足音が響くのだ。
俺は、マンション全体が息をひそめているかのような静けさに、必要以上に自己主張してるみたいな歩調を意識して弱めながら、扉をくぐりエレベーターに乗った。
車中で、マネージャーと喋ってるときにポケットにいれていたスマホが震えてたことを思い出す。
どうせ、ラインだからと後回しにしてたんだった。
手にとってタップする。
あいつ、また………(笑)
グループトークにおとされている、相葉くんの、よくわからない写真に、苦笑する。
うつされているのは、座ってるにのの後ろ姿。
『タイトル 「ボスを倒して喜んでるにの」』
こんなんわかんねーよ!(笑)
フツーに、にのの後ろ頭しかうつってねーから、ゲームしてるかも、謎だろーが?
ハテナのスタンプを投下し、とりあえず反応を残した。
その時、新たにブルッとスマホが震え、
『お疲れ様。翔くん』
ぽん、と表れた恋人からのメッセージに、思わず笑みがこぼれた。
俺が、月曜日に仕事が終わって家に着く時間を読んで、メッセージをくれるのは、潤。
『 ありがとう。潤も早く寝ろよ?』
エレベーターをおり、自分の部屋に向かって歩きだしながら手早く、送信。
潤が、仕事が終わる俺を待っていたのが分かるから、嬉しい。
嬉しいのだが……。
ドアをそっとあける。
自動的に玄関のライトがパッとつくが、当然ながらその向こうの廊下やリビングは真っ暗だ。
それを、少し寂しい、と思う自分がいる。
パチンと電気をつけ、着ていたジャケットを勢いよく脱いだ。
起きてくれてるなら……ここに来てくれりゃいいのに。
たまには、潤と過ごしたい、と思ってても、あいつは俺が忙しそうだと、必要以上に遠慮するから、最近はゆっくり二人で過ごせてなくて。
……なんのために合鍵渡してると思ってんだか。