テキストサイズ

キラキラ

第22章 1ミリのユウキ

「なんて顔してんの」

潤が、ふふっと笑ってから、小さく

「……キスしてい?」

と聞いた。

少し赤くなった顔とその言葉に、急激に俺の体温もあがった気がした。


……そういうの聞くもんじゃねーし。
そこらへんは黙ってやってくれよ。いい年だし。
照れるじゃん…。


いろいろ心で抗議しながら、俺は、ぎくしゃくと小さく頷いた。

潤は、顔をそっとかたむけ、ゆっくりすくいあげるように……俺の唇を捉えた。

「……」

「……」

温かくて……柔らかい。

潤の優しさが一度に流れ込んできたかのようで、俺は、それを離したくなくて、うっとりと口を開いた。

チュッ……チュッと、そのまま何度もすくわれ、何度も角度をかえ、優しく甘く繰り返された口づけは、いつしか、深いものにかわり。

遠慮しあってた時間を埋めるかのように、俺らは何度もキスを繰り返した。

「……はっ……あ」

やがて。

ドキドキしすぎて、潤でいっぱいになった胸が苦しくなり、俺は、少し顔をそらせた。
潤が物足りなそうな顔をしながら、追いかけるようにペロッと俺の唇をなめる。

「……翔くん…?」

「苦し…」

「息してた?」

「…してたけど……タイム」

血液が全部脳みそにいってしまったんじゃないかと思えるくらい、クラクラする。
潤にしがみついて、肩に顔をうずめた。

潤が、そっと抱き寄せてきて、背中をさする感覚が心地よくて。
俺たちはそのまま、リビングで長いこと抱き合ってた。

どれくらいそうしていたか。

この先にしようしてること、したいと思ってることを、なんとなくお互いに察知し、だけど、照れからか、恥ずかしいからか言いづらくて、沈黙が続く。

はっきりいって、「さあ、じゃあ酒を飲みましょう。枝豆食いましょう」って気分じゃない。

抱き締められてるうちに、体がどんどん火照ってきて。
もっと、触れて欲しい、と身体中が騒いでる。

それは潤も同じみたいで、さっきから腰をもぞもぞとひこうとしてる。
そういうことをしたいって、言葉で言えない分、おたがい体の方が素直なんだな、とおかしくなった。

少し前の自分達はもう少し正直だった気がする。
いつから、こんなに遠慮するようになったのだろうな。

「……潤」

「………ん?」

「しよ」
 
「……」

「抱けよ」

「……翔くん」

「……早く。お前が欲しい」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ