
キラキラ
第23章 🌟🌟🌟
Satoko
ガタガタゆれて進む馬車のなか、ぼんやりと窓から外を見つめた。
日除けに、と、ひいてたカーテンを開け放ち、むしろ浴びたいとばかりに太陽の光の下に、顔をさらす。
日焼けは大敵、とはいわれるが、いつも城の中にいる身には、たまには気持ちいいものだ。
透き通るような青空に加え、太陽の光がポカポカとおだやかに降り注いでるという、天候だけみたら、またとないお出かけ日和。
これで行く先が、マルシェとか、どこかの湖とか、だったら申し分なかったのになあ。
俺は、大きく欠伸をした。
今日は、パステルブルーのおとなしいデザインのワンピースのようなドレス。
裾回りが少しタイトで、うるさすぎない程度に装飾が施されており、外出向けといえる。
俺は、靴をぬいでる足をぶらぶらさせながら、目の前で静かに座る男に問いかけた。
「…あとどんくらい?」
「もう少しです」
「……遠いなあ。めんどくさ」
「……くれぐれもあちらでそんな言葉使いはしないでくださいよ」
ミヤが苦笑する。
父上の代行なんですからね、と、念押しされたので、分かってる、と肩をすくめた。
向かう先は、隣国の櫻の国。
ショウ王子の誕生日パーティーの招待状が届いていて、父上と俺とで行く予定にしていたのだが、手違いで、父上に予定が重なってしまった。
母上にも用事があり、それならば、と、兄上と行くことも考えたが、ミヤをつけるのを許可してもらえたから、俺だけで向かっているところなのだ。
ミヤと出かけれるってだけで、嬉しいっちゃ嬉しいのだが。
行く先が、櫻の国じゃなかったら、もっと楽しかっただろうになぁ……。
ふと、あの童顔な王子が頭をよぎり、素朴な疑問が浮かぶ。
「ショウ王子って何歳になるの?」
「……18でしたかね」
「俺より年下じゃん!」
目を丸くして、驚く俺に、ミヤはクスリと笑った。
「マサキ王子も、ジュン王子も年下ですよ」
「……マジか」
今さら、と言わんばかりに、ミヤは髪の毛をかきあげた。
「隣国の王子たちの間では、あなたは高嶺の花という位置づけのようですが?」
「……はっ。誰とも結婚しねーからだろーな」
面白そうに答えながら、ミヤの顔を改めて見て、違和感を感じた。
もともと色白な男だが。
なんだか、輪をかけて……白い。
「……おまえ。馬車に酔った?」
