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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


「どうしました。浮かない顔して。ショウとのティータイムが、つまらなかったですか?」

イタズラっぽく笑われて、いいえ、と笑って否定する。

だって、まさか、「はい」なんていえねーじゃん。
それに、前回にくらべりゃ、まあまあ楽しかったわけだしな。


「……ショウとは、どんな話を?」

あいつ、くそ真面目だから、政治の話とかばっかじゃなかったですか?と、聞かれる。

……俺の国ではそうだったけど、と思いながら、静かに首をふった。
 
「今日は紅茶のお話や、ご兄弟の話をしました」

「へえ……」

「あ、あとあなたの話も」

「俺ですか?」

「幼なじみで、イタズラばかりしてきた仲だと」

「……ははっ、その通りだ」

快活に笑うジュン王子に、俺もふふっと笑う。

「兄弟みたいに育ったそうですね」

「はい。ショウの方が1つ年上なんですけど、もはや同じ年齢の感覚です」


……17かよ。
若ぇな。


「いつでもどこでもなんでも一緒でした。だからでしょうかね……好きになった人も……同じだなんて」

ふ、と顔をあげたら、ジュン王子が優しい目をして、見つめている。
エロイこと考えてんじゃねーよ……と、つっこめないくらい、今までにない、穏やかな色をしていた。

「ショウは本気ですよ。……俺もですけどね」

「……」

「覚えててください。あなたを好きな人間が、少なくともここに二人いることを」

「……はい」

覚えるだけだぞ。
応えるかは、別だぞ。

小さく頷いた。

ジュン王子が優しく笑った。

そんな顔もできるんじゃねーか、と、心で突っ込んだ。






いよいよ変だと思ったのは、控えの間にもミヤの姿が見当たらないことが分かったからである。

「ミヤ様は、この部屋にはいらしてませんよ」

控えの間から出てきた、俺らの馬車の御者に言われて、急に妙な胸騒ぎがしてきた。

ミヤが、俺や他の使いに何も言わないで姿を消すなんて、ありえない。

トイレにしたら長すぎる。

既にパーティーも終盤に入り、遠方の国からきてる来賓客なんかは、ちらほら帰り始めてる。
予定では、俺たちもそろそろ帰り支度を始める時間帯のはずだった。

御者は、眉を潜め、小声になった。

「……いらっしゃらないんですか?」

「……うん。もし見つけたら知らせにきて。私は広間に戻って、もう一度探します」

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