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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟

Satoko


ずっと夢の中にいるようだった。

三人の王子たちがかわるがわる来ては、気にかけるように話をしてくれるが、正直、どんな話題もつまらなくて。

まるで自分の心だけがモノクロの世界のよう。
ミヤの様子の報告だけが、唯一心が動いた。

ああ……元気になってきてるな、と、それだけが安心だった。


今日も俺は何もする気がなく、朝からソファにしなだれかかったままだ。
何も口にしてないからか、意識に霞がかっているようで、ぼんやりする。

昨日マサキが、少しでも、と置いていってくれたのはカラフルな砂糖菓子。

綺麗だな…と、眺めていたら、コンコン、と控えめなノックの音がした。

ショウはさっき来たし…ジュンかな。

「はい」

と、小さく返事をして顔をあげ、硬直した。

「…サトコ様」

「ミヤ……!」

息が止まるかと思った。

何日か前、蒼白な顔で厳しい言葉で俺を切り捨てたミヤが、緊張した面持ちでこの場にたたずんでいる。

今度は何を言われるの?
……ひょっとして、一人で帰れって言われる?

言葉も紡げない俺に、ミヤはゆっくり近づいてきて、俺の足元に静かに膝まづいた。

「……ジュン王子たちに叱られました。未来に向けての判断が早すぎる、と」

久しぶりに聞くミヤの声。
柔らかくて、俺の一番好きな声。
その声は……冷たくない。

「そして、なにより俺自身が、今、あなたをどう思ってるのか問われました」

「……うん」

ミヤは、俺を見上げ、困ったように微笑んだ。

「俺は……本当を言えば、今もあなたが好きなんです。あなたの笑顔をずっとそばで見ていたい」

「……」 

……意思とは関係なく、ポロポロと涙がおちてきた。
ミヤは、俺の手をそっととった。

「…俺の存在はあなたの未来の邪魔になるかもしれません。……それでもいいですか。あなたが嫁ぐ日まで……近くにいていいですか?」

俺は、たまらなくなり、目の前の男に抱きついた。

「……たりめーだろ……!」

ミヤのうなじから髪から、懐かしいミヤの匂いがする。
たった何日かだけなのに、何年も離れていた気がする。

「…ミヤ……好き…好きだよ………カズ」

ずっとそばにいてと、絞り出した声に、穏やかに被さった言葉。

「はい……サトシが俺をいらない、というその日まで……」

カズの温かい手が俺の背中を優しく撫でた。

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