キラキラ
第24章 バースト5
重ねた手を、そのままきゅっと握った。
翔が、ん?というような表情で、俺を見た。
俺は、にこりと笑いかける。
瞬間。
掠めるようなキスをされて、一瞬何が起きたかわからなかった。
いたずらっぽい笑みを浮かべた翔が、ぺろっと出した舌を見て、じわじわと恥ずかしさが込み上げてくる。
抗議しようと口を開きかけたら、しっと指をたてられ、目でソファーを見ろと促された。
しぶしぶと視線をやると、
「………」
松岡さんに肩を抱かれて座ってる智さんと。
その智さんに、顔を近づけて、押し戻される松岡さんが見えた。
目を丸くしてると、今度は、キッチンをみろ、と目配せされる。
かずと雅紀は、今までにない距離感で、立ってる。
皿を洗ってるかずの肩に内緒話をするように雅紀
が顔を寄せていて。
かずは、幸せそうに照れたように微笑んでた。
「………な。みんな俺らのことなんてみてないって」
翔が、おかしそうにいって、俺の腰をまたぎゅっと抱き寄せた。
密着したことで、よりいっそう薫る翔のさわやかな匂いと温もり。
俺の胸は、とくとく鳴りっぱなしだ。
「………跳ばねぇように、手にぎってるから大丈夫」
囁いて、翔が、再び顔を寄せてきた。
俺は、小さく笑って顔をあげた。
「明日、映画にでも行くか?」
「………俺、まだ原作読んでない」
「俺も。だから、別のやつ」
「………ふふっ、いーよ」
「で、買い物も行こう」
「………うん。デートみたいだね」
「デートだっつの」
「………そっか」
少しずつ、恋人らしくなっていけたらいいね。
俺たちのテンポで。
俺たちらしく。
………大好きだよ。
甘いケーキの香りに包まれて、俺たちは、微笑みあった。
Fin.