キラキラ
第24章 バースト5
翔と智さんの機転で、事なきをえた俺は、それからはそれなりに気を張っておくように心がけた。
ほんとは、ちょっとした心がけで、跳んじゃうことなんて回避できるし、もっといえば、不意に跳ぶ要因は、九割がた翔がらみなのも自覚してるから、そこらへんだけ注意しとけばいいのだ。
だけど、この人の前だと、きっと無意識にどこか安心して頼ってるところがあるんだろうな。
想像以上に、俺は、素でいるみたい。
二人きりのときと、そうじゃないときの心構えを、きちんと線引きしないといけないよね。
………反省。
「なあなあ。潤はケーキどれにする?」
………なのに、翔ときたら、さっき俺がやらかしかけたことなんか、気にもとめてないような行動をとってくる。
つーか。
俺らが恋人どうしだって、松岡さんにばれてると分かった時点で、翔は俺と二人きりのときと、同じようなことをしてくる。
今も、松岡さんが買ってきてくれた、有名洋菓子店のたくさんのケーキを一緒にのぞきこんでる俺の腰は、翔にぎゅうっと抱き寄せられ、密着してる。
………みんなの前では、あんまりこんなことしないのに。
ていうか、他の四人の目が気になって、俺の方が照れちゃうじゃないか。
「………」
最も、彼らは彼らで仲良くしてるから、他の人間が何をしようが、なんとも思っていないのだろうけれどなぁ………。
翔の温もりと、トクトク鳴る胸を感じながら、ソファーで、穏やかにお茶を飲んでる年長組と、ふふっと笑いあいながら、食器を片付けてる同級生組をながめた。
「俺、やっぱチーズケーキかなぁ」
嬉しそうな翔の声。
宝石のようなフルーツがたくさんのったタルトやら、キラキラのジュレが可愛らしいトルテやら。
ロールケーキや、ムースや、いったい何個あるんだ?という箱をのぞきこむ翔は、まるで小さい子どもみたいだった。
意外に甘党な翔は、ケーキも大好物。
松岡さんは、きっと、その辺も考えて、こうやって差し入れてくださったんだろうな。
「潤は?」
「………なんでもいいよ」
腰にまわされた手に、ふわりと自分の手を重ねた。