キラキラ
第25章 Count 10
Ono
ちょっと、無理をした自覚はあった。
悪寒がした時点で何らかの対策をとれば良かった。
季節の変わり目なんか、一番注意しないといけないのは、毎度のこと。
わかってたのに………。
「………」
朝から小さく続いてた頭痛が、いよいよズキズキと脈打ちはじめ、こりゃまずいな、と、慌てて薬をのんだのがさっきである。
皆に悟られまい、と、昼寝を決め込み、楽屋の広いソファーを陣取り、横になった。
基本、弱音は吐きたくない。
そりゃ、感極まって涙して、みんなに甘えることもあるけれど………あったけど。
苦しくてしんどいからって、甘えることはしたくないんだ。
メンバーなら特にね。
甘えられるのは好きだけどさ………。
こういうときって、常に寝てるイメージをもってると、楽だよなぁ。
俺は、こっそりとため息をはいて、小さく寝返りした。
………頭いてぇ。
薬が効くまでもう少し我慢かなぁ。
目を閉じながら、皆の気配を探る。
パソコンのキーボードを叩いてるのは、おそらく松潤。
誰よりも体調を崩しやすい彼は、加湿器や、マスクや、栄養食品なんかで、上手にコントロールして、常に管理に気を使ってる。
偉いよな。
まだ、今年に入って風邪ひいてないんじゃねぇかな。
時々、カサリと新聞をめくる音がするのは翔ちゃんだろう。
カツカツと、いう音は、にのがゲームをあやつる音。
この二人は、華奢で体力なさそうにみえるけど
、意外と丈夫。
あんまり風邪ひいたとこはみたことない。
パラパラと雑誌を読んでる相葉ちゃんなんかは、俺と同じで無理しやすい。
だけど、まずい、と思った時点で、うまく休息をとってるから、ひどくならずにすんでるイメージだ。
俺も、そうしてたつもりだったんだけとな。
吐く息が熱くなってきた気がする。
頬も手のひらもかっかする。
つか、薬きいてねーし!
頭痛くらいなら、すぐ治まると思ってたけど、今から収録だってのに、発熱ってありえねぇ………。
テンシヨンが低かろうが、俺のキャラなら番組の進行上、たいして影響はしない。
でも………司会してる翔ちゃんくらいには、言っといた方がいいかなぁ。
話振られても、ちゃんと返せるか自信ないしなぁ。
目を閉じたまま、そんなことをぼんやり考えていた。