キラキラ
第25章 Count 10
「今日は何本録りだっけ?」
ふと思い出したような相葉ちゃんの声に、
「………二本」
と、呟くようなにのの返事が聞こえた。
あいつは、ゲームしながらでも、相葉ちゃんの声は聞こえんだな………。
今更なことにも感心する。
それからしばらくして、カサカサと、新聞を畳む音とともに、翔ちゃんが、あーっと言う変な声をあげた。
………思い切り体をのばしてんな。
何してるか目をつぶっててもわかる。
くすっという心の声を隠しつつ、頭痛に耐えながらみんなの気配を探る。
「二本録りかー。なんかもう少し食っとこうかなぁ。俺、腹減りそうだわ」
「翔くん、俺、差し入れのケーキ食いたい」
松潤が、ぼそっと口を挟んだ。
入り口にあるテーブルにおいてあった大きな箱を思い出した。
………あれ、ケーキだったんだ。
「そうだな。この箱あけちゃおうか。UBチームは?食う?」
「………俺、いらない」
気のないにのの声。
「俺食いたい!」
相葉ちゃんの元気な声。
「オッケー」
ガサがさ箱をあける音とともに、翔ちゃんの口笛がきこえた。
………どうやら、箱の中身は相当豪華らしいな。
「……兄さんは?起きてるの?」
翔ちゃんが突如こちらに話をふり、ぴきっと体が硬直した。
実は起きてるのが分かったのかと思って、一瞬焦ったけど、よく考えたらずっと目を閉じてんだから、ばれるわけはない。
俺は、なるべく自然にみえるように、呼吸をして、狸寝入りを決め込んだ。
「……まだ…寝てるよ」
松潤の声。
そうそう。俺は、寝てるんだ。
邪魔するな。
「………」
「翔くん?」
松潤の声に怪訝な色がまじる。
翔ちゃんが黙ってるのが不気味だった。
すごく視線を感じる。
つられるように目をあけたくなったが、我慢する。
だけど、次の翔ちゃんの台詞に、俺は思わず息をとめた。
「………なんかさ。あの人顔赤くない?」
「え?」
ギクッ。
翔ちゃんの指摘に松潤が反応した。
そのあと、ふわりと、空気が動いたと思ったら、俺の額と頬に大きな手のひらがあてられた。
誰のものか考えようとしたと同時に、
「うーわ。あるじゃん。熱。あっついよ」
驚いたような声音に、今の手のひらの主は相葉ちゃんだ、ということが分かった。