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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~

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kazu



学祭当日は朝から抜けるような青空だった。

翔さんと一緒に、待ち合わせ場所である風磨さんの大学の最寄り駅前に行くと、中島さんはすでに到着していて。

中島さんが、少し緊張した面持ちで、


「こないだはありがとうな」


なんていうから、翔さんは困ったように笑って、彼の肩をポンと叩いた。


「……なんて顔してんだよ。今から恋人に会いに行くんだろ」

「……なんか、死刑宣告うけに行く気分でさ」

「バカだな」



中島さんは、元気よく振る舞おうとしてるけど、その無理した笑顔に胸が痛くなる。
翔さんは、安心させるように、そのまま中島さんの背中を擦った。


「普通にしてろ。無理しなくていいから」

「…うん」


頷いた中島さんが、翔さんの隣で佇んでた俺の顔を見て 、


「おはよ。今日はありがとう 」


と、微笑んだ。
俺は慌ててペコリと頭をさげた。

強く思う。

何もできないかもしれないけど、なんとかこの人に笑顔になってほしいと。
だって、心から笑ったら、この人絶対、ものすごーく綺麗だ。


「晴れて良かったですね」

「そうだね」


そこへ、相葉くんと潤くんが合流した。


「おはようございます」

「ごめん。待った?」


相葉くんは、翔さんと中島さんに頭をさげたあと、俺を見て、ニッコリ笑って「おはよ」と言った。
俺も「…おはよ」と返す。


ざわざわしていた胸も、相葉くんの笑顔を見るととたんに落ち着いた。

不思議。
この人となら、何か できるかもって、思っちゃうよ。


…うまくいくといいね。
誰にも泣いてなんかほしくない。


「じゃあ、行こうか」


翔さんが明るく言って、人混みの中へ歩きだした。
潤くんと、中島さんがそのあとを追いかけ、俺と相葉くんがその後ろに続く。


「せっかくだから楽しもうね、かず」


白いTシャツにデニムという、爽やかな格好の相葉くんが笑うから、俺も、うん、と頷いた。

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