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キラキラ

第3章 フラワー


言われるままに、舌をだすと、潤は器用に自分の舌で絡めとり、水音を響かせながら、更に深く口づけてきた。

「……んっ………う…」

頭の芯がクラクラする。
潤が腰を支えてくれてるから、かろうじて立ってるけど、本当はとっくに足の力なんか抜けてる。

めまいがする……。

「……はっ……あ……」

唇をゆっくり離されて、すがるように潤にしがみついた。

「……大丈夫?」

艶のある低い声で、囁かれて、思わず力なく笑ってしまった。

「……反則だっつの……おまえのキスは……」

「そ?」

嬉しそうに微笑んで、潤がもう一度、俺を抱き締めた。
そして、小さく「ベッド行こ」と言う。

もちろん、こんなリビングで、始めるわけにもいかないし、寝室に行かないと、とは思うが。

既に、キスだけでへろへろな俺は、立ってるのすら危うくて、返事のかわりに、ぎゅうっとしがみついてやった。
潤は、そんな俺に気がついたのか、腰にまわしてた手に力を込め、自分に寄りかからせるようにして、ゆっくり歩を進めはじめた。

寝室までの距離が、長く長く感じる。

(あ……なんだ、これ)

俺は、キスだけで感じてしまってるのか、異常に火照り始めてる、自分の体の変化に戸惑ってた。

潤の温もりや腕の感覚、吐息、香り、全てに過剰万能してしまう。

でも、これからの未知なる出来事に、まだまだ怖じ気づいてる自分もいて…。

もはや、どうしたいのか、どうされたいのか、自分でも分からなかった。



ようやくたどりついた寝室。

ベッドの真ん中に静かに座らされ、続いて、潤が隣に座った。

「そんな怯えた目で見ないでよ……」

苦笑して、潤が俺の肩を抱く。

「……怯えてなんかねーし」

「そう?……もう、嫌だっつっても、やめれねえよ……?」

そういって、潤に静かに体重をかけられ、組み敷かれた。

ふわりと、天地が逆さまになり、目にうつるのは天井……と、潤の顔だけ。
背中に感じるシーツの感覚だけが、妙にリアルだ。

「…………」

「泣きそうな顔してる。……怖い?」

分からない……。

そう言いたいのに。声が出せない。

上から見下ろしてくる潤が、目を細めて、優しく笑う。

「………大丈夫…俺を信じて」

そう言われて、再び唇を塞がれた。




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