
キラキラ
第3章 フラワー
「……寝ようか」
「えっ……もう??!」
上ずった声がよっぽどおかしかったんだろう。
ついに、潤はケラケラ笑い出した。
「翔くん、俺、別にとって、食やしないよ?」
「いや、その……」
「嫌ならしない。……翔くんがその気になってくれるまで待つよ」
潤は、優しく笑んで、持ってた飲みかけのボトルの蓋をぎゅっとしめて、カウンターにおいた。
「嫌……とかじゃなくて……」
しどろもどろになりながら、促されるままに、俺は自分のもってる空になったボトルを、潤に手渡した。
「………嫌じゃ、ないんだ……?」
潤が繰り返す。
水を飲んだはずなのに、口のなかが、からからしてる。
もつれる舌をなんとか動かし、必死に言い訳を考える。
「いや……ほら、お前、熱あったしさ。大丈夫かなって思って……」
「……大丈夫だよ」
潤が一歩踏み出してくる。
「また、熱がぶり返したら……」
「その時は、また看病してね……?」
潤がまた一歩距離を縮める。
「えっと……」
「翔くん」
手を伸ばせば触れる距離。
潤が静かに囁いた。
「……触れたい。……いい?」
…………覚悟を決めた。
「…………………いいよ」
俺の返事を待っていたかのように、潤の力強い腕が、のびてきて、俺の体をぎゅうっと抱き寄せた
「……翔くん」
暖かくて、広い胸。
潤の優しい香り。
それらすべてを感じながら、肩口に顔をうずめ、俺はじっとしてた。
心臓が早鐘をうつ。
潤に聞こえるんじゃないかと思うほど、どくどく鳴り響いてる。
「……好きだよ」
潤が囁く。
俺は、うん……と頷いて、小さく「……俺も」と言い、そっと両手を潤の背中にまわした。
抱き締める腕が、一瞬強くなったかと、思ったら、潤は少し体を離して、俺の頬に手を添えた。
うっとりした優しい目が俺を見つめてる。
そのまま、潤が顔を傾けてくるのを感じて、ゆっくり目を閉じた。
……優しい唇がおりてきた。
俺の唇を甘く噛んだりはさんだり、ついばむようなそんなキス。
「…………っん」
思わず出た俺の吐息が合図であったかのように、潤は一気に深く口づけてきた。
後頭部を支え、俺の頭が動かないようにして、口内すべてを味わうように、舌をさしこんでくる。
息ができなくて、喘ぐように口をあけると、囁くように、「舌だして?」と言われた。
