テキストサイズ

キラキラ

第29章 バースト7


jun



校門の前で、うろうろしている他校の制服の女の子が目に入り、俺には関係ないとはいえ、うんざりとため息をついた。


その数は二人だったり、五人だったりさまざまだが、出てくる生徒を確認しては、ガッカリしてる様子は、ここ数週間、共通して繰り返される光景。


あいにくだったね。
待ち人はまだ体育館で汗を流してるぜ?
しかも試合前らしいから、暗くなるまで出てこねーよ?


皮肉に思いながら、その集団の傍らをすり抜けた。


風磨さんの大学の学祭のイベントで、優勝した雅紀。


一体どこで調べてくるのか、その場では在籍してる学校名なんか一切口にしてないのにも関わらず、ファンになりました!と、やってくる女の子たちがあとをたたない。


そんな事情をしらない男子生徒どもは、門のまえで出待ちのようにしている女の子たちの集団を、一部は戸惑いながら、一部はにやつきながら、遠巻きに眺めてる状況。

ナンパとか喧嘩とか。
面倒なことになったらかなわないし、もしそれが雅紀に飛び火でもしたらたまらない。
だから、できればとっととお帰り願いたいところなのだ。
だが、あいにく、俺には関係ないから、口出しするわけにもいかないから……難しい。


ぶつぶつ思いながら、足早に歩いてたら、


「あのっ……」


可愛らしい声が俺を呼び止めた。


「……?」


愛想の欠片もない顔で振り返ると、その子がすがるような顔で、


「この学校に相葉雅紀って人いますか?」


はあ……


「……知らねー」


小さくぶったぎって、俺はそのまま歩き始めた。


当の雅紀は、毎日部活に忙しくて、この状況を知らない。

時々、部活が終わるまで待ってる熱狂的な子はいるらしいが、マネージャーのケイに、一睨みされると、大半がそそくさと帰っていくって。


『へえ……すごいね。
まあでも、もう少ししたら落ち着くっしょ』


雅紀は他人事のように朗らかに笑っているだけだけど。

でも……この状況、かずが知ったら心穏やかじゃないと思うけど?


ストーリーメニュー

TOPTOPへ