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キラキラ

第3章 フラワー

対照的に、リーダーは、楽しそうに笑った。

「……うまくできた?」

「だから、うるせーって!!」

翔くんが、真っ赤になって、かみついてる。

俺は、そんな二人を見ながら、申し訳ないと思いつつ、くすくす笑って手にもってたコーヒーをあおった。


痛い……とうめいて起き上がれない翔くんが、「これ、マジでやばい」と、言い、二人で顔を見合わせたのが、今朝の話。

鎮痛剤、消炎剤、マッサージ、あらゆる方法を駆使して、入り時間ギリギリ前に、ようやく普通に歩けるようになった翔くん。
リハーサルで、歌って踊れたのは奇跡でしかない。


「まあ……今日は死ぬ気でキラキラ笑顔を保つんだね。編集はないからね?」

「………分かってる」

苦虫をかみつぶしたような顔で、翔くんがしぶしぶ頷いた。
リーダーは、ふふっと笑って、今度は俺を見た。

「でも、二人ともスッキリしたいい顔してるよ。……たくさん悩んだぶん、たくさん幸せになりなよ?」

……リーダーの暖かい声音に胸が熱くなる。

椅子からこちらを見ている翔くんも、黙ってるけど、顔が赤い。

「で、どうなの?」

リーダーが興味津々といった具合に身を乗り出してきた。

「……?どうって?」

「翔ちゃんと。よかった?」

「!智くん!!なにいって……」

「いや、もう最高に……」

「潤、てめえは、黙ってろっ!」

そこへ、自販機に行っていた雅紀とニノが帰ってきた。

「なんなの……?翔ちゃんの声、外まで聞こえてますけど……」
眉をひそめて、ニノが言えば、

「翔ちゃん、顔赤いよ?松潤に風邪うつされた?」
と、天然で、雅紀がつっこむ。

「……………なんでもない…」

翔くんは、ゆっくりと椅子にすわりなおした。

その時に、ほんの少し顔をしかめたのを、俺は見逃さない。

そろそろ鎮痛剤の効き目がきれるころだ。
水と、薬。用意したげなきゃね。

ごめんね、翔くん。負担かけたね
でも、俺はすげえ、幸せだよ。

かっこよくて、頭がよくて、まわりにアンテナはって、気を使って、仕切って、指示して、常にいろいろと考えてる翔くん。

でも、俺の前では、素でいてほしい。
時に甘えて、時に寄りかかってもらえる存在でありたい。

そんな男になれるように頑張るからね、俺。 

大好きだよ、翔くん。


End

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