キラキラ
第3章 フラワー
風呂場から出てくる頃には、俺は、文字どおり精も根も尽き果ててた。
「大丈夫……?」
「大丈夫じゃない…」
潤に翻弄されるがまま、二戦目を終えて、今度こそ後始末まで全てやり、……というかやらせて、潤のバスローブにくるまれて、リビングにでてきた。
全く歩けなかった俺は、再び潤にかつがれ、ソファーにおろされた。
ぐったりしてる俺を見て、さすがにヤンチャがすぎたと思ったのだろう。
潤が、ちょっと焦り気味に、冷蔵庫から、水をだしてきた。
「飲んで?」
気だるく目をあげる。
正直、どこも動かしたくない。
でも、これは幸せな怠さだから、そんなに深刻な顔されても困るんだよな。
俺は、ちょっと考えて言ってやる。
「……飲ませろよ」
「……うん」
潤は、嬉しそうにキャップをあけて水を含むと、
ソファーに横たわる俺をそっと抱き上げて、口づけた。
若干逆上せ気味だった俺は、ぼんやりした頭のなか、潤が、口移しで流しこんでくれる水がおいしくて、貪るように、コクコク飲んだ。何回か繰り返されて、もういらないと首をふったまでは覚えてるが、それを最後に、俺の意識は途絶えた。
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J
「……いいこと教えてあげる。生番組の前夜に、ヤったら、絶っっっ対ダメ」
楽屋の片隅で、リーダーがあきれ顔で説教してくる。
視線の先には、いつもの椅子に腰かけて新聞を読みふける翔くん。
表情にも、雰囲気にも何もいつもと変わりはない。
だが、ついさっき終わったリハーサルの翔くんの動きを見て、昨晩何があったか、リーダーに即座に見破られた。
生番組、なおかつ新曲発表の日。
そんなこと、綺麗さっぱり忘れてたんだよ……。
しゅんとして、小さくなる俺に、なおもリーダーは続けた。
「あれさ、俺ら受ける方しか、分からないことだけど、かーなーりー、身体に負担かかるからね?」
「……はい……」
「次の日がオフとかにしてあげないと、仕事辛いんだぞ」
「うん……」
「ましてや、初めてだったんだろ?」
「……」
「どうだった?」
「!智くんっ!!!」
バサッと新聞を派手に畳んで、翔くんが赤い顔で怒鳴った。
「なんだよ、聞いてたの?」
「聞きたくなくても聞こえてくんだよ!」