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影に抱かれて

第10章 蜜事

「あっ……うう……ふーっ……ふーっ……」

ジュール以外の〝誰か〟が。
それとも、〝ジュールと誰か〟がこの扉の向こうにいる……

扉を開けると、中の人間に気付かれてしまうかもしれなかったが、それでも開けたかった。この目で確かめたかった。

しかし、ゆっくりと扉を開けたリュヌが期待していたものはそこには無かった。

祭壇は、影も形もない。

代わりにそこにあるのは一台の小さなベッド。
そして、ゆらゆらと揺れる蝋燭の灯りの、その先の壁には……

裸の女が吊るされていた。

ブロンドのその女は、目の前に立つ男の股間に顔を埋めていて顔はよく分からない。時折見える乳房は豊かで、その滑らかな肉体は、以前リュヌが見たような少女ではなく大人の女性だとリュヌは感じた。

両手首に枷をつけられ、そこから伸びた鎖は壁の上方に吊られ、後ろ手に万歳をしたような不自然な形になっている。

その辛い姿勢で奉仕をする度に、ガチャ……ガチャ……と鎖が音を立てるのだ。

思いもよらぬ光景に衝撃を受けて、リュヌは思わず声を上げそうになっていた。

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