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影に抱かれて

第7章 花の蜜

もともと学が無いリュヌは授業についていくことが困難だった。そして更に途中編入のリュヌは教師から叱責されることも多く、それを嘲笑する同級生から守ってくれるのも、いつもドゥルーだった。

学園には、試験で落第点を取ると即退学という厳しい規則があり、リュヌが特に苦手とする法律学の試験の前は、自分の勉強をそっちのけで徹夜で教えてくれることもあった。

他に拠りどころのないリュヌがドゥルーにますます心を許していくのも当然の成り行きだった。

ドゥルーは時に家族の話もしてくれた。家は貧しいが、兄弟の中で一番出来の良かったドゥルーのために、兄弟たちが働いて教育費を工面してくれているそうだ。

その話を聞いて、自分は孤児だが、ずっと恵まれた環境で育ってきたのだということを改めて感じ、今度は自分の力で、いつかジュールと会える日を目標に力の限り頑張らないといけない……そう改めて心に誓っていた。

しかし表向きには元気を取り戻したリュヌだが、夜にはあの儀式の記憶が、あの快感が……甘く疼いてリュヌの肉体を苦しめることもあった。

自慰というものを学園に来てから知識としては知ったものの、それは禁じられるべき行為として教えられたものであり、それで自分を慰めることなど考えられない。自慰はサキュバス(女夢魔)の誘惑の仕業であるという話だった。

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