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影に抱かれて

第7章 花の蜜

僅かだが世の中を知り、聖書の勉強もし、今のリュヌは同性愛の意味も、ジュールとの口淫が癒しの儀式などではないことも知っていた。

それでも、自分が心から求めているのは目の前にいるような女性ではなく、ジュールとの……あの時間だけなのだと思い知らされた。

リュヌは部屋を飛び出し、走った。無我夢中で……

自室に戻りベッドに顔を埋めると、ドゥルーも後を追ってきて慌てて部屋に入る。そして、リュヌに頭を下げた。

「あんなことをしているとは知らなかったんだ……」

あんなこと……そこでリュヌは改めて気が付いた。

あれがパーティーだというのだろうか?
性行為をするパーティー?

この厳粛な学園であのようなことが行われているとは驚きだった。

今は身体が勝手に動いて夢中で逃げ出してきたが、そうでなくてもあのようなパーティーに参加しなかったのは正解だった。もし学園で不祥事を起こしたりしたら、それこそ伯爵家へ帰るどころではなくなってしまう。

「リュヌを傷付けてしまったよね……本当にごめん」

心底申し訳なさそうに、ドゥルーはうなだれていた。

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