泣き虫ルームメイト AM & 遠回りのルームメイト SN
第2章 泣き虫ルームメイト2 潤
敷地内にある 校舎と寮は歩いて5分ほど
その間には 狭いながらも芝生広場や花壇もあるし
寮の裏手には 銀杏やナナカマドがあって 秋には赤や黄色の葉で溢れかえる
「緑が多いね」
嬉しそうにまーが言う
「うん、四季を通じていろんな花が咲くよ。今は校門から校舎までの桜並木がきれいだったろ?」
「見た見た、もう 少し散り始めてたけど、それがまた 幻想的なくらい綺麗だったなぁ」
「まーは花が好きなの?」
「そうだね、東京の家はマンションだから 鉢植えくらいしかなかったけど
子供の時は 夏休みになると 千葉のじいちゃんちに預けられてたから、自然豊かな方が好きかな」
「千葉か・・・俺も子供の頃ちょっとだけ居たことあるよ」
「へぇ・・・じゃあ どっかで会ってたりして」
「はは・・・あるかも」
実際には そんなはずはない
夏に千葉にいたのはたしか小1の時だけど、ほんの数週間、それもほとんどを入院して過ごしてたんだから
こんな、病気とは無縁の陽だまりみたいな まーと会ってるわけはない
そうは思っても、そんな思いをぶつけるほどガキじゃない
俺は笑顔で案内を続けた