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泣き虫ルームメイト AM & 遠回りのルームメイト SN

第1章 泣き虫ルームメイト1 まー

1-1

夏になると決まって思い出すのは、
子供の頃に 千葉のじいちゃんちで過ごした
夏休みのこと




オレが小さいころから 両親は共働きで、
会社勤めの父親は 勿論のこと、
セレクトショップを経営している母親も 
普段から夜遅くにならないと帰って来ない



保育園の時は 最終時間までの延長保育、
小学校に上がってからは 
学童保育から チャイルドマインダーへの
バトンタッチの毎日で 平日を乗り切り、
休日は また別の行政や民間サービスを
駆使して来たんだけど、

夏休みには 毎年 母親が海外に
買付けに行くこともあって 
1か月以上もの期間 じいちゃんちに預けられるのが
物心ついてからずっとの 習慣になっていた



全然寂しくないと言ったら そりゃぁ嘘になるけど
弱冠6歳にして、オレは自分の立場を悟り、
弱音を吐かない 立派な男になっていた


お父さんとお母さんが 一生懸命お仕事してくれてるから ボクはごはんも食べられるし
おもちゃも買ってもらえるんだもんね
大丈夫、おじいちゃんちでイイ子にしてるよ


そんな健気なことをいうオレに感激した母親は 
オレの背中を力強く抱きしめ、

「ありがと まーくん、お土産買ってくるから いい子にして待っててね」

と言う言葉を残し 今年も嬉々として旅立って行った


「お母さんは ボクよりお仕事の方が好きなの?」
なんて、しょーも無いことを口にするほどガキじゃない


毎年来てるから 近所には 遊び相手もたくさんいるし、
ばあちゃんの作るご飯はすごく美味しい

お米はつやつやしてるし、野菜の味も東京とは全然違う
トウモロコシを生で食べたのも初めてだったし、
それがまた砂糖をかけたみたいに甘くて
めちゃめちゃ旨いのにも感動した


放置は自由だ
オレはこの生活に 文句なんかなかったんだよ、ほんとに


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