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泣き虫ルームメイト AM & 遠回りのルームメイト SN

第1章 泣き虫ルームメイト1 まー



看護師さんはオレを安心させようとして 笑顔でそう言ってくれたけど、
その言葉は 本当にはならず
ジュンちゃんとの約束も 実現されなかった



次の日からも毎日、オレは 中庭のベンチで ジュンちゃんを待ったけど
ジュンちゃんは それ以来 姿を現さなくなってしまったんだ



・・・どうしたんだろ・・・あの後 具合良くならなかったのかな
看護師さんは大丈夫って言ってたけど、まだ苦しいのかな

考えてみたら 外のベンチはジュンちゃんには暑すぎたのかもしれない
だとしたら 具合が悪くなったのはオレのせいだ
ジュンちゃんに謝らないと・・・



そう思って それからも毎日中庭の近くをうろついたけど ジュンちゃんに会えないまま じりじりと日が経っていき、とうとうオレの退院の前日になってしまった


思い切って 心臓内科のフロアーに行き ナースステーションでジュンちゃんのことを訪ねてみると

「ジュンちゃんは 転院したのよ」
「てんいん?」

「具合が悪くなったから 急遽 東京の大学病院で 手術することが決まってね、」
「・・・そっか・・・」

「急だったから お別れの挨拶できなかったのね」
「ぅん・・・別にいいけど・・・ありがと」



がっかりしたオレは とぼとぼ歩きだした

お別れの挨拶が出来なかったどころか、オレは自分の名前さえジュンちゃんに言えてない
でも 東京の病院なら もしかしてまた会うこと出来るかも?



そうだ、ジュンちゃんの苗字と 移った病院を聞いておこう、と思い直して
またナースステーションへ足を向けた


ところが 聞こえてきたのは

「・・・あの子 手術しても18まで生きられないかも、って言われてるんでしょ・・・可哀想にね・・・」

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