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第2章 Warp A×N
気まずい空気が流れる。
どちらも口をつぐんだまま。
このままじゃまずいと思って、
声を掛けようとしたら
「あのー…「あのさ」」
声が重なった。
2人でパっと顔を見合わせてる。
和也も相当驚いた顔をしてるから、
俺も同じような顔をしてるんだろうな…。
さっきまでガチガチに緊張していた
和也の顔は、すごくマヌケな顔になってて。
「「…ぷっ。」」
また、タイミングがそろった。
笑い出すタイミングまで重なった。
この雰囲気に、昔を思い出す。
3年前までのあの甘い日。
そこからは他愛ない話をした。
「最近、どう?」
「元気だよ。和也は?」
「俺も。今はゲームのプログラマー
してるんだ。」
「ええ!凄いじゃん!」
会話は弾みに弾んだ。
この流れなら切り出せると思って、
「ねぇ、和也。」
「ん?」
「ご飯食べていかない?ハンバーグ。」
「え!ハンバーグ!
…あ。」
やっぱり可愛い。
ハンバーグって聞いた途端に、
子供みたいに瞳をキラキラさせてて。
変わらないなぁ、和也は。
3年ぶりに話したって、違和感はないなんて
やっぱり俺らの相性はいいのかも。
「待ってて。ハンバーグ持ってくるから。」
「うん。ありがとう。」
ほら。この笑顔もずっと変わらない。