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第2章 Warp A×N
すぐに分かるのに。泣いてたって。
でも、
「何で泣いてるの?」って聞いても、
「泣いてないよ。」って、それだけしか
返ってはこない。
無理してるのなんて目に見えて分かる。
淋しい思いをさせてたんだって、
この時初めて痛感した。
でも、もう遅かった。
「何で我慢するの?俺にも言えない?」
「雅紀のせいで我慢してるって言ったら、
解決すんのかよ!
毎日仕事仕事で…。」
「それはー…」
「分かってるよ!!
でも…。休日出勤を自分から
頼まれてるって聞いた…。
有給も休みもいらないって…。
分かってる。雅紀が今の仕事に
誇りを持ってて、本当に頑張ってるって。
でも…。もう無理だよ。」
「ちょっと待って、ね?」
「待つ方の気持ちなんて、
考えたことないでしょ?
結局俺のことなんてどうでも… 」
「よくない!」
「でもやってることはそうだろ!
俺のこと、嫌いになったの?
俺は…嫌いだ。こんな自分。」
和也は家を飛び出した。
俺は追いかけられなかった。
辺りが明るくなっても、まだ状況が
呑み込めなくて、ただ泣いた。
「嫌いな訳ない。」
「和也のほうが大事に決まってる。」
「一緒にいてほしい。」
何一つ、言えぬまま。
和也とは音信不通になってた。
それを経て、今和也が目の前にいるんだ。