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第2章 Warp A×N
俺はご飯を食べ終わって、
箸をもう机の上に置いてる。
和也は、下を向いたまま。
何も言わないし、口も動いてない。
やっぱり、ダメだったかな。
ハンバーグを作って待ってるのは。
泣きそうになってきた。
この沈黙に、嫌な空気を感じるほど。
最初に切り出したのは和也の方だった。
「…ずっと後悔してた…。」
「…え?」
「黙って出て行ったことも。
連絡も取らなかったことも。
逃げたことも。
あの時、ひどいことを言ったのも…。」
涙をいっぱいに溜めた瞳が、
しっかりと俺をとらえてる。
そんな瞳が綺麗で、儚くて、
目が離せなくなった。
「雅紀がどれだけ苦労して、努力して、
今の仕事に就いたのか、知ってたのに。
言っちゃいけないことを言ったし…。
勝手に飛び出して、帰ってこなかった。」
何を言いたいのか。
本当に言いたいことは何なのか。
和也が言いたいことが分かる気がする。
だってそれはきっと。
俺の思っていることと同じだから。
俺の望むことと同じだから。
俺が言いたいことと同じだから。