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第2章 Warp A×N
「和也、今日は早く帰ってこれるからー…」
「ご飯用意してるからね!」
「うん!ありがとう。」
「ううん。雅紀も仕事頑張ってね。」
あれから。
俺たちはまた、一緒に暮らすようになった。
3年前と…、いや、
3年前よりもいい空気が流れている。
お互いを気遣い合う、温かい空気。
お互いを分かりあっている空気。
そして、少し初々しい甘い空気。
新鮮な感じがして、照れくさく感じる。
会社にいる時間は前ほど遅くならない。
それでも遅くなってしまう時は、
その分の穴埋めをすることにした。
3年前じゃ考えれなかったくらい、
たくさんデートもするし、食事もする。
2人で過ごす時間が格段に増えた。
今日も、定時で帰ることが出来る。
帰宅ラッシュの波に呑まれながら
電車に揺られる。
離れる前は考えられなかった、
「和也の存在のありがたさ。」
「家で待っていてくれる人がいる喜び。」
それが当たり前じゃないってこと。
そして、お互いを思いやる気持ち。
ずっと一緒にいてほしいって
心の底から思える人がいることは、
何て幸せなことなんだろう。
駅の改札を抜ければ、
自然と歩く速度も上がってくる。
部屋には明かりがついている。
「おかえり。」
「ただいま。」
何度だって誓おう。
嫌いな訳ない。愛している。
ずっと一緒にいてほしいって。
-end-