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第4章 可愛いアイツと N×A





泣きそうな顔で、雅紀がリビングを出て行く。

怒られたくないなら、
初めからちゃんと服着てよ…って
心の中で抗議する。


ラグの上で、小さく丸まって体育座り。

膝の間に顔を埋めて、そっとため息をつく。

「はぁ…。」


これだから天然の恋人を持つと苦労する。

気が付いてないんだ、自分の魅力に。
どれだけ俺が惹かれているかに。

油断したらいつでもキスしたくなる。
それ以上だってしたくなる。


「我慢してんだぞ…バカ。」
「何を我慢してるの?」


しまった。足音に気が付かなかった。

顔をばっと上げると、
泣く5秒前の顔をしてた。

唇をきゅっと噛んで。
瞳はうるうるさせて、今にも
涙は溢れてしまいそうで。


不覚にも綺麗だと思う。

でも、そんな顔をさせたい訳じゃない。


「何に我慢してるの?」
「何でもないよ。」
「嘘だ…。

やっぱり、俺のこと嫌いになったの?」
「違うって。」
「無理させてまで付き合いたくないよ。

…やっぱり、俺ばっかりが好きなんだ。」


そこまで言って、とうとう泣いてしまった。

ボロボロと大量の涙が頬を伝う。


「そんな訳ねーだろ!

…好きだよ。大好きだ。

だから…。俺ばっかり、なんて言うなよ。
俺も伝える努力、するから…。」
「…っ。かずぅー…っ。」


ちゃんと、目を見て好きだと言ったのは
いつ以来だったんだろう。


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