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第4章 可愛いアイツと N×A





「ごめんな…。」


意識を飛ばしてしまった雅紀に
話しかける。

頬に残る涙のあとをそっと拭う。


久しぶりだったってこともあって、
止まらなかった。止められなかった。


雅紀も、それを知ってか知らずか

「ねぇ、もっとぉ…っ。ぅあっ。」

そんな風にねだって煽るから。

いつも俺が翻弄される。
あの天使のような天然の小悪魔に。


鼻、額、頬、そして唇に
優しく優しくキスを落とす。

堪らなく愛おしかった。


「…愛してる。」


大人なってのは、面倒な生き物だ。

歳だけどんどん重ねて、
言わなきゃいけないことが言えなくなって。


だけど雅紀は違う。

いつだって真っ直ぐに、素直で。

そんな雅紀に応えたくなるんだ。


「伝わってる?俺の気持ち。」


雅紀の3分の1…いや、4分の1も
伝えられていないのかもしれない。


俺たちは、ただ時間を重ねてきた
訳じゃない。

片思いをして、

付き合って、

何度も求めて求められて、

一緒に暮らして…。

たくさんの愛を重ねてきた。


「大好き、だよ。」


雅紀の目が覚めたら、何度でも言おう。

これからもずっと。


俺の人生は、可愛い雅紀と。


-end-

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