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第10章 wait a minutes,please? N×A




A side


運ばれてきたのは、チョコレートケーキ。

プレートには、
Happy Birthdayの文字。


「誕生日ケーキだ…。」
「当たり前でしょ。誕生日なんだから。」


そんな言葉に、うるっと来てしまう。

泣いちゃいそうだよ?もう。
だってこんな時期に誕生日ケーキだもん。


そして、プレートの横にちょこんと
置かれているのは…


「…え?」

「これね、結婚指輪。」


もう頭が全然付いてこない。

結婚指輪っていったよね?今。
結婚指輪…。


「どうせずっと一緒にいるんだもん。
だからこれでいいかなって。

本当はもっと早く返事をするつもり
だったんだけどね、指輪の発注が
間に合わなかった。」


サイズが合えばいいけど…って、
さりげなく俺の左手をとって指輪をはめる。


「よかった、ピッタリじゃん。」
「…っ!

ニノぉ…っ。」
「そんなに泣かないの。もう。」


ほらって、椅子から立ち上がって
手を広げて俺を待ってる。

ボスンと飛び込めば、
夢にまで見た暖かさに包まれる。


「…ずっと好き。
今までもこれからも。

だから結婚してくれる?」
「うんっ、うんっ。」
「あはは、ひっどい顔だなぁ。」


そんな事言ったって、止まるわけないでしょ?


ニノらしい回り道をした告白。

でも結婚までの最短ルートの告白。

それがいかにもニノらしくて、
余計に泣けてきて。

ニノの腕の中にいるってだけで
また泣けてくる。


ずっとずっと…ここに居させてね?


「Happy Birthday、雅紀。」


-end-

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