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第10章 wait a minutes,please? N×A
N side
ポットパイの出来も、
チキンソテーの出来も上々。
よし。練習した甲斐があった。
心の中でガッツポーズを決めながら、
こっそり相葉さんを盗み見る。
相葉さんは、
「美味しいなぁ…。」
「ほんとに美味しい。」
なんて、嬉しい言葉ばかりを呟いてる。
こうやって見れば見るほど、
どんどん自分の気持ちを確信していく。
「本当にありがとうね。」
全部を綺麗に食べ切ってくれた相葉さんが
お腹をポンっと叩きながらそう言った。
「足りた?」
「うん。お酒飲んでるから、丁度いい。」
「そっか。良かった。」
ニッコリ笑ったら、途端に相葉さんの顔が
ボッと赤くなった。
その顔を見て、ちょっぴり安心した。
まだ俺の事、好きでいてくれてるんだって。
正直不安だった。
考えすぎちゃう相葉さんの事だから、
きっと良くない方に考えて、俺の気持ちを
決めつけて、
この恋を終わらせちゃうんじゃないかって。
でも、今のを見て、背中を押された。
ずっと待たせてごめんね。
「ねぇ、相葉さん。」
「どうしたの?」
「ケーキ、あるんだけど食べない?」
「ほんと?食べる!」
今俺に必要な言葉は、たった1つだけ。