
ビタミン剤
第7章 人魚のナミダ
もうすぐ
時計の長針と短針が重なる時間。
翔さんの誕生した日。
俺が翔さんに返事をする日。
あれから
俺はすぐに翔さんの部屋に
押しかけて一緒に暮らし始めてる。
たまには口ゲンカとかも
するけど
2人で笑う時間のほうがはるか
に多くて、メールだって以前と
もとどおり、いや
もっとマメに送ってくれてるかな。
いっつも最後がLOVEハニーには
苦笑いだけどね。
久々の自宅は、
なんだか落ち着かなくて
玄関で1時間前から座りこんでる。
あと、20秒
立ち上がって扉に耳を
くっつけて聴き耳をたててると
来たっ!
カツンカツンカツン
革靴の足音
5秒前で足音が立ち止まる
4
3
2
1秒前
インターフォンが鳴る前に扉を開ける
バラの花束を持った翔さんは
すっげえ格好良くて
おもいっきり抱きついた。
「翔、誕生日おめでとう。」
「潤、ありがと。
鍵開いてるか不安で
めっちゃドキドキした。」
「もう返事してもいい?」
「待って
エヘン、ゴホッ、ウウン
潤、俺と結婚してください。」
「はい、もちろん!」
差し出されて花束は受け取っても
すぐに床へ落っことした。
噛み付くように勢いよく唇を
重ねて翔さんにキスする。
