
ビタミン剤
第16章 千夜一夜物語
「待って…俺、男…だぜ?」
「いきなりごめん、キモいよね、
男が男を好きだとかって、しかも同じグループなのに、ホントにホント…ごめん。」
「何時から?」
「もう、わかんない
最初は恐いなぁって印象だったけど、
メンバーになれて頼りになる存在だなぁって尊敬がつよい憧れみたいになってて
気付いたらすっごく好きになってた。
だからね、今日は2人きりでデートみたいでめっちゃうれしかった。」
「…マジかよ…」
「落ちこぼれみたいなこんな俺でもちゃんと
メンバーとして仲間として認めてくれて
いっつも優しくしてくれて、引っ張ってくれて
ばらばらな俺たちをしっかりまとめて
くれててありがとね。」
ずるずると鼻水が止まんなくて、涙腺もうまくコントロールできないや。
「ちょっ、泣くなよ…
俺が泣かしてるみたいじゃん」
「えへへ、ごめんね翔ちゃん。
俺ね来週、海外ロケなんだ。」
「ドバイっだっけ?」
さすが翔ちゃん、なぜだかメンバーのスケジュールもしっかりと知っててくれてる。
笑わなきゃ、笑い話としてきれいサッパリと
翔ちゃんの記憶からも、俺の中からも忘れ去らなきゃ。
「うん。
大丈夫、ちゃんとこの翔ちゃんへの片想いの気持ちは海か砂漠に捨ててくるからね。
だから帰ってきたら新生相葉雅紀として
また新たな気持ちでヨロシクでーす!
なんつってね、アハ。
告白なんてしてホントごめんね、翔ちゃん。」
最後までうまく笑っていられなくって
また涙が溢れてきちゃって
ケーキの箱にも零れ落ちてしまう。
