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ビタミン剤

第16章 千夜一夜物語

Aside


「翔ちゃん俺にちゃんと返事する為に…
わざわざ…こんな遠くまで逢いに来てくれたの?」


「雅紀に逢いたくなった。
目の前でちゃんと雅紀に伝えたいって思った、
別れ際、あんな泣き顔にさせたのが俺なら
今度は俺がおまえの笑顔を作ってやりたい
そう思ったらいても経っても居られなくて
急遽旅行会社の友達に連絡して段取りつけて手配してもらってここまで来た。」

信じられない
でも、掌のちいさな砂の結晶が輝いてる。

「俺のことずっと好きでいてくれて
ありがとな雅紀。」

「…翔ちゃん…」

「へたれだし、恋愛音痴だし
恋人として好きになってもらえるか自信なんてねえけど、俺もちゃんとまっすぐ雅紀を見るから。」


まっすぐ見つめてこれからの恋愛宣言をしてくれる。ぎこちない仕草で両腕が伸びてきて
抱きしめてもいい?なんて聞いてくるんだもん。


翔ちゃんの体温が伝わってくる。
早鐘を打つのような俺の鼓動もきっと翔ちゃんに伝わってる筈、どうしようドキドキが止まらない。


「泣くなよ…雅紀」

「…ズビッ…だって、嬉しいんだもん。」

「わりい、ちょっと限界。寝かせてもらえる?」

「えっ、え?どしたの?具合悪いの?」

「違げえよ、男同士の恋愛とか、その先のエッチの仕方とか飛行機内でめちゃめちゃ調べたりしてて、あんま寝てねえの。
自慢じゃねけど恋愛経験値もそんなねえし、不様な真似して雅紀にがっかりされたらヤだしな。」


恋愛ベタの翔ちゃんらしい台詞が嬉しくて思わず笑みが零れた。おおきな欠伸をした後で大の字でベッドに寝転んだと思ったら3秒で眠り込んじゃった。

そういえば、キスもされたかも
口移しに飲ませてくれたドリンク。

翔ちゃんが届けてくれた願いを叶える石の結晶
デザードローズ

俺の願いを叶えてくれる為にわざわざ届けてくれた
片想いを捨てて忘れるようにってずっと考えてた

この日本から遠く離れた異国で
思いもよらずに片想いが両想いになれた。

ダメだ
嬉し過ぎて頭の中がまとまんない

俺も、隣りで一緒に眠ってもいいよね
翔ちゃんのあったかなぬくもりに寄り添いながら
眠りについた。



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