
ビタミン剤
第30章 ムテキのヒーロー
朝、目が覚めると
強くならなきゃ
しっかりしなきゃ
泣き虫なんかじゃない
毎朝、自分にそう強く言い聞かせてた。
「チェンジペガサス2は俺だけの
ヒーローなの?
みんなのヒーローじゃないの?」
だってあの頃のチビっ子なら誰だって
憧れてたんだ
握手会だってたくさんの子どもたちが並んでた。
「おいらは、櫻井翔だけのヒーロー
チェンジペガサス2!
翔、おまえだけのヒーローだ!
翔のかなしみも痛みも苦しみもぜんぶおいらが
ぶっ飛ばしてやっからな!」
格好良いポージング。
あこがれのヒーローが目の前にあらわれて
俺だけのヒーローだって言ってくれる。
今、世界中を敵にまわしたって恐くない気がするよ。
「ぎゅーってして。
さみしかったの…逢いたかった
でもわがまま言っちゃいけないって
ずっと我慢してた…俺、1人でさみしかった」
優しい智くんの声のチェンジペガサス2
俺のヒーローがぎゅっと抱きしめてくれる。
突然現れたヒーローの正体は智くん
貴方が俺のヒーロー
俺だけのヒーローなんだね
抱きしめてくれる腕の力強さは
あの頃のチビで泣き虫だった俺まで智くんの
腕がしっかり抱きしめてくれてるんだ。
ねぇ、もっとわがまま言ってもいい?
