
ビタミン剤
第5章 夏まつり
「そうだ、呼び名考えないとさ。
ニノとかかずとかはさすがに
マズイからね。」
「一夜限りの源氏名かぁ、俺は
なんでもいいよ。
翔ちゃんの好きな名前呼びなよ。」
「カっちゃん?なりちゃん?
うーん、かずなりだから
そうだ!りなちゃんなんて良くね?」
「決まりね。
俺は、じゃなくて
じゃあ、あたしは呼び捨てでショウ。」
祭会場から少し離れた場所へ車を
停めて手を繋いで並んで歩いてゆく。
下駄のこぎみよい音が気持ちを
より盛り上げてくれてる。
「りなちゃん、何食べたい?」
「カキ氷、綿あめ、焼き鳥に
ポテト、りんご飴でしょ
あ、あと、焼きとうもろこし。」
「露店食い尽くしちゃうの?」
馬鹿な話しで盛り上がってたら
だんだんと人混みが多くなってきた。
りなちゃんは口元を団扇で隠すように
用心をしてる。
だけど、けっこう
振り返って見られたりするのは
やっぱりりなちゃんの可愛らしさの
せいかもしれないんだよね。
金魚すくいしたら
りなちゃんは美人さんってことで
一回サービスしてもらって
俺よりもたくさん金魚すくえたし
射的で格好いいとこ見せる
つもりだったけど、
やっぱり
りなちゃんのほうが上手い訳で
俺が輪投げでようやくとれた景品は
ヘンテコな顔したカエルの置き物。
バカ笑いしながら
2人ともめっちゃ祭を楽しんでた。
