
ビタミン剤
第36章 続 縁結びの神さま
晩飯も食べずに
リビングで落ち込んで泣いてる翔ちゃん
事務所の野球大会なんかで後輩どもに差し入れとか
考えるからだよっ
翔ちゃんはおいらことだけ考えてればいいのに
なんて了見の狭い男なんだっ!
我ながら心の狭さに笑いがこみ上げる、
「智くんっグスン…智くん…グスン
なんで起こってんの…言ってくれなきゃ…
わかんないよ…ヒック…」
「翔ちゃん、昨日の野球大会で後輩に
おにぎり配ったでしょ?」
「えっ?えええぇ!!
ウソッサトくんが喋ってる?
うん、配ったけど
サトくん?おはなしできるの?」
モニター機能も新しい機能も知らない
びっくりした声
「翔ちゃんのバカっ!
おいらだってまだ作ってもらったこと
ないのに、なんで先にたくさんの後輩に
配ったりすんのさっ」
「智くんの声だぁ…智くーん…
ちゃんと顔が見たいよぉ、声だけとか
さみしいよぉ
智くーん…グスン…ごめんなさい…」
すっかり甘えん坊口調になりだしてる。
可愛いくてすぐ許してあげたくなるけどダメダメ!
おいらが本気で怒ってるってもっと分からせなきゃ
「…ごめん…なさっ…グスン
ふぇぇーーんうわぁーーんっっ」
やっべなぁ、いよいよ本気泣きになってきた
そろそろ傍に行ってあげないと。
