
ビタミン剤
第36章 続 縁結びの神さま
「おいら怒ってんだかんな!」
大っきな声をあげてリビングに飛び込んだ。
おいらが睨みつけてるからぶん殴られるかと思って
肩を竦めて目を瞑る翔ちゃんのことを
ぎゅうぎゅう抱きしめたげる。
筋肉むきむきになる体質じゃねえけど
翔ちゃんくらいは軽々と抱き抱える腕っぷしは
持ってるんだせ。
「…ん…ぐるじぃ…ょ」
「これはバツなの!
おいらの翔ちゃんでしょ!
なんで後輩なんかに優しくするのかなっ
おにぎりとか配ったりしたらまた、
翔ちゃんのこと好きになるヤツらが増えるでしょ
いけない翔ちゃんにはこうしてやるっ!」
んんっ……んふっ…んンッ…はっぁ
酸欠になりそうなくらいくちびるを激しく塞いで
ソファに押して倒すと熱い口腔内をむさぼる。
涙をぽろぽろこぼす翔ちゃんは泣き顔なのに
うれしそうに微笑むんだ。
「智…くん…さと…んぁ…く…」
「さっき晩飯作ってて、我ながら上手く味付け
できたなあってニヤニヤしてたらさ
ばんばんっメール入ってきて見てみたら
差し入れ美味かったっすとか
それは知ってたから良かったんだけど
櫻井さんのおにぎりマジでパワーでましたって
何それ??
思わず小瀧に電話して聞いたんだから!!」
普段は表に出して感情を乱すことがあまり無いって
言われたりしてるけど
あんま、興味がないだけ。
だけど翔ちゃんのことに関しては別
恋人としての感情が溢れてまるで原色のオーラを
纏ってるみたいになるそうだ
かわいい恋人?を想うあまりの男の激しい
嫉妬心が溢れ出ちゃったりするわけ。
