ビタミン剤
第43章 オッカムの剃刀
決壊しちゃった涙腺
抱きしめてくれたニノのシャツの胸許を涙で
びしょびしょに濡らしてしまった。
夢なんかよりあったかくて、気持ちよくて
目眩がしそうなくらいのキス
呼吸が上手くできなくってキスに溺れそうになる。
名前を呼んでも消えたりしない
夢の中の声よりもっと優しい息づかいで
俺の名前を囁いてくれるんだ。
ほんとに消えたりしないよね?
やっぱり夢だったなんてないよね?
胸許の掻きむしった痕にそっとくちびるで触れられると、既視感なのはなんでだろ?
訳のわかんない不安に胸が苦しくなるのに
身体ばっかり疼くのが恥ずかしくて
固まったまんまガチガチに震えながら
ニノにしがみついてたらおもいっきり腕の力が
はいってたみたい。
「雅紀っ、痛いから腕の力ゆるめて」
「…ん…はぁ…ごめんね…っ」
身体が離れたと思ったら両手で頬を包まれて
優しくキスをされた。
抱き寄せる腕は俺より華奢で細いくせに安心感が
心地よくて泣きそうになってしまうんだ。
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