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えっちの経験値

第42章 一之瀬蓮の事情⑫

暗がりのロビーで
俊輔の治療が終わるのと
親御さんが迎えに来るのを待っていた。

咲良との約束の時間は過ぎてしまった。

親御さんに詫びを入れたらすぐにでも
咲良の元へ向かいたい。

いかにも水商売風の女が
カツカツとヒールの音を立てながら
俺の前を走り抜けようとした。

俊輔の母親か?

「すみません」

俺が声を掛けると女は立ち止まった。

「あ……俊輔の塾の先生でいらっしゃい
ますか?
この度は俊輔が御迷惑をお掛け……」

下げた頭を上げようとした母親と俺は
一瞬、時が止まった。

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