きみがすき
第11章 *ジュウ*
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「行かないでよ」
相「大ちゃん?」
視界には相葉ちゃんの顔。
その顔はなんだか驚いたような困ったような表情をしている。
あ…あー…
『行かないでよ』って言ったの俺か。
久々にやっちゃったじゃん。
なんなのこの口。俺の意思なんか無視してさ。
相「大ちゃん、どうしたの?」
再びかけられた言葉に、グッと意識が戻る。
「ごめん。なんでもない。引き留めてごめんね。」
説明するのもなんだから、何にも無かったように振る舞ってみせる。
相「もーどうしたの?」
今度は心配そうに首を傾けて俺の顔をのぞき込む。
「ほんとになんでもないよ。なんか意識が飛んでた。ははは。」
俺自身だって、なんでこんなことしたのかわかんないし。
気にしないで。と笑ってみせる。
相「んー…じゃぁ…俺行ってもいいの?」
「? うん。急いでたのにごめんね。」
って言ったのに全然動こうとしない相葉ちゃん。
ん?っと見返した俺に、
相「…手、離してもらえると行けるんだけどな。」
と少し言いにくそうに視線を下げた。
言葉の意味がわからず、つられて視線を下げてみると、しっかりと相葉ちゃんの右手首を掴んだ俺の手があった。