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きみがすき

第15章 *ジュウヨン*



相「じゃぁ出発しまーす。」

「ふふ。よろしくお願いしまーす。」

そして車はゆっくりと滑り出した。


****

時間は相葉ちゃんがダウンした数日後に遡る。

ニ「大野さん、相葉さんが大野さんの連絡先教えてって言うんで、教えておきますね。」


大「…あ、うん。…よろしく。」
そう、海に行きたいと言ったものの、あの状態で連絡先の交換なんて頭には無かったから、結局流れちゃうのかな。なんて…

ニ「はーい。じゃ伝えておきますね。」

「…。」


ニ「なんですか?」


「…いや、何も聞かないのかなって。」
ニノのお願いで相葉ちゃん家に行ったから、もちろんニノは知ってるし、ましてや連絡先の交換をする話になってるのに、何も聞いてこない。
今までの様子から興味津々に聞いてくるんじゃって思ってたんだけど…。

ニ「なに?私に聞いて欲しいんですか?」
にやっとからかうように笑う。

「な、…べつにそうじゃないけど。」
なんか拍子抜けしただけ。

ニ「安心の先輩と安定の親友。ま、お互い天然なのが若干心配ではありますが。」

「? 何の話?」

ニ「こっちの話です。」
今度はにっこり。意味わかんない。

ニ「大野さんが話したくなったらいつでも聞きますよ?
では、私は先に上がらせてもらいます。これからデートなんで。」

「あ、おう。お疲れ…。」
やたらと、デートを強調し、いつの間にかに帰り支度を済ませてたニノ。

ニ「あ、そうだ。これは潤くんからの情報なんですけど…」
そこまで言って、俺の耳元に口を近づける。

ニ「相葉さん、大野さんがお見舞いに行ってから、なんか“変”みたいですよ。」
と小声で囁いた。

「変?」
どういうこと?
そう聞く前に「お疲れ様でしたー。」とニノは足早に俺の前から消えていった。

変って、体調がまだ悪いってこと?でもニノの様子からはそんな感じではないけど…

後日、ニノに聞いたけど「百聞は一見にしかず」とかなんとか言って教えてくれなかった。


****

んで、リアルタイムに戻すけど。

助手席から相葉ちゃんの横顔を盗み見る。

特に…変じゃなくない?

相「海鮮食べたいね。」
変わらずににこにこの相葉ちゃん。


なんて楽しそうな相葉ちゃんを見てたら、考えてるのも勿体なくなって、ニノとの会話は頭の隅に追いやることにした。

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