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きみがすき

第15章 *ジュウヨン*



大・相「「さっむ~!!」」


相「ふはっ!被った!」


「ふふ。思った以上に寒いね。」

そう現在、相葉ちゃんと浜辺をデート中。



…なんて、ロマンチックな感じじゃない。
だって、ちょーさみぃーんだもん。

だから、さっきから相葉ちゃんと寒い!寒い!連呼しながら散歩してるの。

いやさ、冬の海が寒いくらいはわかってたけど、今日は風が強いのなんのって。
俺は夏の海より冬の海がすきだし、なにより相葉ちゃんとなら、こんな感じでも凄く楽しい…んだけど…

なんだかテンションが上がらない。

きっとその理由は…

「あ、羽根だ。ウミネコかなぁ?」

相「え?羽?」
相葉ちゃんの前髪についた羽根。風で飛んできたのかな?

「ほら。…白くて綺麗。」
少し背伸びをし羽根を髪から外して、相葉ちゃんに見せる。

相「あ、ありがとう。」
相葉ちゃんと視線が一瞬合う。

ほら、まただ…

今日一緒にいて、もしかしたら距離が縮まるかな。なんておこがましく思ってたけど、なんか、時間がたつにつれて、相葉ちゃんと目が合わない。
そりゃ少しは合うんだけど、すぐ反らされる感じ。

相「ほんとだぁ。綺麗な羽根だね。ふわふわしてる。」
そう言って、羽根を光に透かす。

会話は普通にしてくれるし、笑ってもくれる。
けど、視線だけが噛み合わない。

俺の思い違い?気にし過ぎなだけ?



もしかしてさ、相葉ちゃんは俺と出掛けるの嫌だったんじゃないかな。
ほら、お礼がしたいって言ってくれたけど、1日がかりのお礼なんて、俺、わがまま過ぎたのかも…。

そうだよ。きっと優しい相葉ちゃんのことだから、言った手前断れなかったとか…

じゃぁ…今も凄く気を使わせてる?
運転してもらっちゃってるし、疲れてきてるだろうし、そしてとどめの寒い海…

…楽しんでるの俺だけ、かも。

そんなことを考えてたら、さっきまでの楽しかった気分はどんどん萎んでいく。

俺までこんな気持ちじゃ申し訳ない。

…もう…帰ろう。

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