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きみがすき

第17章 *ジュウロク*

*大野*




相葉ちゃんに振られたということよりも、ただもう会えない、あの笑顔が見れないんだってことが、哀しかった。

でもそれは受け入れるしかないことで、ひたすらに仕事をしたのは、少しでもそんな気持ちを紛らわしたかったから。

何度か上司や同僚から心配されてたような気はするけど、仕事に打ち込むしか、方法がわからなかった。

必然的に無くなる睡眠時間。別に家にいても考えてしまうから、ちょうど良かった。

不規則になる生活。食事量は減って、少し痩せたかなとは思ったけど、体は動くから特に気にしなかった。

…ニノが、時々心配そうに声をかけてくれた。けれど、それすら相葉ちゃんを思い出す要因にしかならなくて、ごめんと思いつつ定型文を並べた。

毎日、早く忘れないかなって思ってた。



そんな俺の背中を叩いてくれた翔くん。

簡単なことだったんだ。
まだ諦めなくていい。

会いに行って良いんだって思えたら、体の力が抜けて気持ちが楽になれた。


**


相「大ちゃん、なにしてんの?」

でも…だからって、こんなすぐに会えるとは思ってなくて。
あんなに会いたいと思っていたのに、嬉しい気持ちよりも、どうしようって気持ちの方が強い。
だって、心の準備なんかさらさらしてなかったから、
…だから思わず、翔くんの後ろに隠れるように一歩、下がってしまった。

何か返事しないと。と思うとけど頭が働かない。


櫻「君が、相葉雅紀くん?」
翔くんの声に、思わず下がっていた顔をあげる。

俺からは見えない相葉ちゃん。
返事は聞こえない。


と、人が動く気配を感じた時には、
相葉ちゃんが俺と翔くんの隣に来ていて、ぱちっと目が合った。


でも…、直ぐに反らされた視線。
その先にあったのは、俺と翔くんの…手?

…あ、掴まれたまま…


相「櫻井さん。ですよね?」
その言葉に相葉ちゃんを見ると、翔くんを…睨んでる…?


櫻「…あぁそうだけど?」


翔くんが答えたその途端、相葉ちゃんの手によって、俺の手が翔くんから離される。


相「櫻井さん、すいません。」


なんの謝罪…?


そう思うと同時に、俺は相葉ちゃんの腕に引かれて、大通りとは反対方向に走り出していた。

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