きみがすき
第17章 *ジュウロク*
「ちょっ、はぁ…ま、待って」
相「待たない。」
俺と相葉ちゃんの歩幅は違うから、相葉ちゃんが早足だと俺は必然的に駆け足にならざるおえない。
『待って』という申し出は聞き入れて貰えず、ただただ転ばないように着いていくしかなかった。
…けど、
なんか…気持ち悪い…
息も…
「はぁ、あ…」
も…無理…
相「え?大ちゃん?
大ちゃん!?どうしたの?!」
「っはぁ、はぁ、はぁ…」
倒れる寸前で相葉ちゃんにしがみついた。だから転倒は避けれたけど、息が上がってしゃべれない。
相「…え、すごい汗…なんで?!」
そりゃそうか…最近食って無かったし…そこにアルコール…
「ごめ…少しやす、めば…はぁ、大丈夫…」
相「…あ…俺…」
視界がグルグルする…
と、次は体がふわりと浮く感覚…
相「っ大ちゃん!少し我慢して。って軽!」
え??なに?
今度はぐらぐらと揺れる体。
うっすらなんとか開けた瞼の先には、真剣な顔の相葉ちゃん。
もしかして…俺、運ばれてる?
一瞬、恥ずかしい。と言う感情が浮かんだが、それ以上のダルさに、このまま身を任せる事にした。
.
カランっ
耳に聴こえたのは聴き覚えのある音。
相「潤!!」
松「あ、雅紀。買い出しサンキュ。って、え?!何?!誰?!」
この声は、松潤…
相「体調悪いみたいで、何処か横になれるとこ…」
「あ…も、大丈夫。だから…降ろして。」
少し休めて、だいぶ呼吸も戻った。
松「へ?え?!大野さん?!」
相「あ、大ちゃん。良かった。
でも、横にはなった方がいいから。」
松「…あ、じゃ、じゃぁ休憩室。寝れるようにするから少し待って。」
着いた先は、相葉ちゃんと松潤のお店。
相葉ちゃんに降ろしてと頼んでも、これも聞いてはくれなくて、結局松潤が人が寝れるようにしてくれた所に降ろされるまで、ずっとお姫様抱っこされる羽目になった。
.
相「…ねぇ、まだ怒ってる?」
「…」
相「ごめんね…。でもそうでもしないと…」
「水。飲みたい。」
相「あ、水?わかった!直ぐに持ってくるね!」
俺が喋ったのが嬉しかったのか、嬉々として部屋を出ていく相葉ちゃん。
パタンとドアが閉まるのを確認して、もぞもぞと壁を向いていた体を上に向け、
はぁ…と、
緊張でいっぱいだった肺の空気を吐き出した。