テキストサイズ

きみがすき

第18章 *ジュウナナ*

*二宮*




脳裏に浮かんだのは


『潤!ニノ!俺、OKもらえた!』

本当に、本当に嬉しそうな、相葉さんの笑顔。



次に浮かんだのは


『もう…疲れた。』

弱々しく笑った、相葉さんの顔。




櫻「…くん?」

なんで、泣かなかったんだろう…
泣けなかったのかな。

櫻「二宮くん?」


「え?あ、」


櫻「どうした?」
向かいに居る櫻井さんが、心配そうに俺の顔を覗く。

そうだ、話の途中だった。

「いえ、ちょっと昔のことを思い出して。」
いまだに相葉さんの顔が浮かんでて、思わず頭をふった。

櫻「昔?」


「あ、はい。相葉さん、以前付き合ってた人と、なんて言うか、トラブルがあったみたいで。」

櫻「トラブル?」

「…詳しくは、話してくれなかったんで良くわからないんですけど、たぶん騙されたというか良いように利用されたっぽくて。
…最後は『振られた』って言ってたけど、相葉さん…」
その時の情景が浮かんで、手に力が入る。


こんな事、櫻井さんに話して良いのだろうか…ううん、きっとダメだと思う。


…けどさ、相葉さん、もう良いんじゃない?


「だから…普通考えればわかることでも、過敏に反応して、誤解したのかなって。」


櫻「…トラウマってやつか。」


「はい。怖いんだと思います。
あの日から、相葉さんは恋人をつくってません。何年もたってるのに。」


櫻「……そっか、なんか悪かったな。
相葉くんのこと馬鹿とか言って。」


「いえ、馬鹿なのは馬鹿なので。大野さんに負けず劣らず天然ですし。」


櫻「それは心配だな。」
櫻井さんは、困ったように眉毛を下げて笑った。


ねぇ、相葉さんも幸せになろうよ。

俺、そのためならなんでもするよ?

それに大野さんなら、きっと大丈夫だからさ。



大「何が心配なの?」


「っ…」
ひょっこり出てきた大野さん。

忘れてた。大野さん居たんじゃん。
聞かれたか?流石に大野さんには俺から聞かせる話ではない。


櫻「…ん?智くんが帰ってこないから心配だなって。トイレで倒れてんのかなって。」
櫻井さんも一瞬驚いた様子があったが、すぐに切り返す。さすが。


大「……そんなわけないじゃん。
帰ってくる途中で声かけられちゃって、それで遅くなっただけだし。」
と口をへの字に曲げた。


聞かれては、ない?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ