テキストサイズ

きみがすき

第18章 *ジュウナナ*

*二宮*




大野さんの焦っていた顔が、心配色に染まる。

ちぇ、結局答えてくんないじゃん。

「えー?別に何もないですよぉ?」

酔ってるのは事実。
酔っぱらってるのは嘘。

ふりでもしなきゃこんなこと聞けないじゃん。


大「ニノ?」

俺の答えが信用できないのか、いまだに心配そうに顔を覗きこむ。
実際嘘だしね。

「あ、櫻井さんの事は?どうして勘違いしたんですか?」


大「ニノ。」

今度は真面顔。仕事の時良く見るやつ。
仕事モードの大野さんはかっこいいけど、櫻井さんが居るときにしか見せない、少し幼くなった大野さんは可愛いと思う。
俺には見せない顔。
きっと相葉さんの前、すきな人の前でしか見せない顔だってあるんだろうな。

大「ニノ。」

俺が…ここで大野さんにキスしたらどんな顔するかな。すごく焦って、そして怒るかな?

潤くんはどうする?ヤキモチ、妬いてくれる?
それとも振られちゃうかな…


「つっ…」
ピンっとおでこに軽い衝撃。

大「無視すんな。」
デコピンをした手を翳したまま、不機嫌顔。

「無視してないですよ。考えごとしてたんです。」


大「人はそれを無視と言うらしいよ。」


「へぇ勉強になります。センパイ。」
翳していた手が、ぽん。と俺の頭に乗せられる。

大「…ほんとだ。頼ってもらえないのって辛いね。」

俺が大野さんに言ったやつ。

ゆっくりと頭から離れる手。

大「俺ね。ニノと居るとすごく楽なの。
ニノともっと色んな話したり、色んなところ一緒に行ったら、きっと楽しいんだろーなって。」


「…。」


大「最初はさ、出会ったのが会社だから、どうしても先輩になっちゃったけど…なんつーか、今はもう友達、なのかなって…」
勝手にね…。と、どんどん、どんどん尻窄みになっていく大野さんの声。
逆にどんどん、どんどん赤くなる顔。


瞬間。訳もわからずザラついていた心に、ストン。と何かが落ちた。



…あぁそうか。
俺、大野さんと友達になりたかったんだ。

大野さんの中に、俺だけの場所が欲しかった。


「大野さん。…あのね。」


大「ん?」
まだ照れた顔で、でも優しく向けられる顔。


「俺と友達になって。」

そう、言えば

大「ふふ。うん。でもさ…もうとっくに友達だったよね。」

俺のすきな、ふにゃんとした顔で笑ってくれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ