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きみがすき

第19章 *ジュウハチ*

*大野*




バチバチと、風が吹く度にビルの窓を打ち付ける雨。

見下ろす町並みの中の数少ない木々は、ギシギシと音が聴こえるかの様に揺る。


なんか、嵐みたい。実際嵐って言うのかな。こういうの。


眠気覚ましに入れた熱めのコーヒーを啜りながらそんなことを考える。


ニ「後ろから見ると、ちょっとドラマのワンシーンぽいですよ。」

振り返ると手に資料を抱えたニノ。

ニ「お疲れ様です。休憩ですか?」


「お疲れ。…犯人の…目星は付いてるのか?」


ニ「…えぇ、私を誰だと思ってるんですか?」


「さすがだな、目星のニノさん。」


ニ「…。」


「…ふっ、ふふふ。」


ニ「ダサ。なに目星のニノさんって。てか何やらすんですか。」


「ふふ。窓際といったら刑事かなって。」


ニ「雨、凄いですねー。」

流された…

ニ「潤くん大丈夫かなぁ。」
窓から空を見上げながら呟く。

「迎え?」


ニ「はい。こんな天気なんで車で近くまで来てくれるみたいで。」


「じゃぁ定時であがらないとね。」


ニ「そのつもり。それじゃ行ってきます。」


「うん。頑張れ。」
はーい。となんとも軽やかに返事をして会議室へ向かうニノ。
もうすっかりその背中は頼もしい。
最近はほとんど一緒に行動しなくなった。たまに外回りは行くけど。
嬉しい半面、しんみり。


あ、そう言えば動画のお礼言うの忘れた。

結局送られてきたニノからの動画。それが思いの外面白くて、夜な夜な見てしまった。


ので、


眠い…。


朝から何杯目かのコーヒーを飲み干す。


てのは言い訳で。


眠れなかったのは、少し緊張してるから。


《こんばんは。明日、会えないかな?》


相葉ちゃんからのメール。


今日は、お店が休みってことかな。


そのメールにYESと答えたのは言うまでもなく。


でも、やっぱり緊張しちゃって。ニノからの動画で気をまぎらわしてた。


…天気は気になったけど、次の相葉ちゃんの休みまで、俺が待てないもん。


久しぶりに相葉ちゃんに会える。


ドキドキするな。


雨、上がるといいな。


今日は満月なんだって。


だから見れたら嬉しいな。


うん。俺も定時であがれるように頑張ろう。


そう、ほっぺたを両手でパチンと叩き、気合いをいれた。

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